■テーマ:友達
■活動時期:4月下旬
■画材:パス、四つ切り画用紙(白)
■ねらい:しっかりとした線で描き、塗る。
■導入:二人組になり、実際に友達の顔を触り、目や鼻、耳などの位置を確認した後、友達の顔ってどんな顔?と投げかける。

■園長のコメント

 導入からすると、友達の顔がテーマになっているようなのに、実際にはそうではなく、殆どの子が全身を描いているし、周囲のものさえ描いています。年長ではこの時期、先の導入でなくても、この程度の顔はしっかり描けても不思議ではありません。むしろ、自分なり、友達との関係が描けるテーマの方が相応しいでしょう。

 2クラス目では「お母さんの笑顔」を画用紙の横向きで描いています。画用紙を縦に置くように指定したから顔が小さく、全身を描いたとも考えられます。
 担任の反省では、人物はしっかりと塗り込めているが、他の部分が雑になってしまっているとあります。これも導入とテーマ設定に問題があると思われます。
 描き始めるのが遅い子はいなく、20分〜45分の活動。

 3クラスの総括的な意見は一番最後に書きました。























■テーマ:お母さんの笑顔
■活動時期:4月下旬
■画材:パス、四つ切り画用紙(白)
■ねらい:身近なことを描く
■導入:前日に、お母さんの顔を観察し、笑った顔を見てきてねと言い、当日、お母さんの笑った顔はどんな顔だったと尋ねて描く。

■園長のコメント

 顔に焦点を当てた導入です。画用紙は特に横置きを指示した訳ではないですが、全員横置きで描いていることが作用してか、全身ではなく、顔だけを描いている子が先のクラスより多いのは注目です。
 ただし、年長児のこの時期の顔としてはよく描けてはいるのに、指導者として欲が出ます。顔だけに特化するために、広がりに乏しい作品になってしまいます。
お母さんの似顔絵コンクールにはこのような作品がわんさと並びます。

 担任は「身近なことを描く」ことをねらいにしていますが、漠然としすぎています。先のクラスのように、パスでしっかり塗り込むというテーマにすべきでしょう。この単元の場合「身近な…」でも良さそうですが、テーマ設定をする際に、できるだけ具体的な設定ができるようになるためには漠然としたねらいは妨げになります。
 数名、描き出しが遅い子がいて、活動時間は15分〜30分。もうひとつ何か「想」を与えた方が良かったでしょう。



























■テーマ:友達と好きな遊び
■活動時期:4月下旬
■画材:パス、四つ切り画用紙(白)
■ねらい:パスで塗り込む
■導入:幼稚園でどんなことをして遊ぶのが好きか先生に教えてね

■園長のコメント

 描き出すのが遅い子は一人もいなかったそうなので、テーマとして相応しいと言えますが、私は疑問です。担任も「想」が広がりすぎたと反省していますが、同時に、もっと話し合いを持つべきだったと書いています。しかし、いくら話し合っても作品には決して繋がらないことは認識しましょう。ヘタをすると想を狭めて、同じような絵になってしまいます。
 このようなテーマは絵手紙で扱うべきで、描画作品として取り上げる際には、指導者はもっと出来上がりを想像すべきでしょう。

  直接このテーマとは関係ないですが、リレーを描いている子の作品が数点あります。縄跳びも同様です。でもどうでしょうか、子どもの個性が充分に発揮できているとは思えません。「リレー」や「縄跳び」をテーマに選んだときには、このような作品が多くなるとの予測は立てるべきでしょう。
 パスで塗り込むことをねらいにしていますが、描きたいものが多すぎで線描だけで終わっている部分もかなりあります。
 20分〜40分の活動時間。






























 3つの実践にはそれぞれ問題があります。ひとつめの実践は、教師の思いと子ども達の想に隔たりがあること。2つめの実践は想が狭すぎ、3つめは広すぎる点です。

 そもそも、パスは輪郭線を描く材料程度にしか使っていない園も多いのは、パスだけではなかなか作品にならないからです。3番目のクラスのように描きたいとの思いがあっても、散漫な印象の作品になります。だからと言って線描の後で絵の具を使う方法ばかりでは表現として偏りが生じます。
 パスでしっかり塗り込む部分と、それ以外ではコンテを使うと広い面も丁寧に塗れて、年長の子ども達には描きやすいようです。

 絵の具で描いた後、人物など小さなものをパスで描く方法がよく取られますが、その段階でしっかりと描く子は殆どいなく、作品としての印象も雑になるので、これは絶対に避けるべきです 。

 このように、パスは扱いやすい画材のようですが、手軽に描けてしまうため、充分に使いこなすには幼児にはかなり難しい画材です。だから、指導者には充分にその特性を知った上でのテーマ設定が求められます。是非挑戦してみて下さい。時期はもっと後ですが、園内での活動をテーマにした良い作品が昨年のページで紹介してあるので参考にして下さい。